育てて摘んで、味わう。〜杜仲の木編〜currently translating...
date.2017/06/21 category.地域巡り
庭やベランダの植物が活発になるこの季節。冬の間なんの変化もなかった植物も、新芽を出したり枝を伸ばしたりと、この季節ばかりは動き始めます。数日目を離すと、驚くほど伸びていたり。梅雨と言えば憂鬱なイメージですが、日々植物のパワーを感じられる特別な時期です。このたくましいエネルギー、もっとわけてもらえないかな・・・たとえば、煮出して飲めたり。
ということで、身近な庭木として扱えて、さらに“煮出していただける植物”を調べてみました。びわの木、チャの木、桃の木、イチョウの木、柿の木、桑の木、サンシュユなど色々あります。中でも効能が高いとされるのが、杜仲の木。葉は杜仲茶として、樹皮は漢方薬として親しまれる中国原産の落葉高木です。今回は、約25年ほど杜仲の木を庭で育てているという方から葉をお譲りいただき、詳しく教えていただきました。
食事の際に杜仲茶を取り入れることで、生活習慣病の予防やダイエット、デトックス効果が期待されたりと、お茶の中でも特に健康効果の優れたものとして知られています。葉を収穫するのは5月下旬から7月いっぱい。暑すぎると葉が傷みやすいので、早めが良いそうです。
軽く水にくぐらせて沸騰したお湯で蒸す、もしくはフライパンで軽く炒ったりするそうです。今回は短時間の天日干しの後、そのまま乾燥させる方法にしました。茶の葉と同じく、適度に直射日光を浴びると効能が高まるそうです。通気性の良いかごに平置きし、風通しの良い場所で乾かします。たまに上下を入れ替えたり、数日様子をみます。
右側が摘んで間もない葉っぱ。左にいくにつれ、乾燥が進んだもの、下の2列は裏返しの状態です。左側のように、シワシワでパリッと乾燥したら、やかんで煮出していただきます。適度にちぎって入れると、より成分が出てきます。
乾かす際のポイントは、“葉は裏返しにして乾かすこと” “強く握らないでやさしく扱うこと” だそうです。聞けば、台風や強風が多かった年は、葉同士がぶつかり合うことでお互いストレスになり、変色の原因になったり味わいに影響するとのこと。並べる際に強く握ってしまったところが、日を追うごとに黒ずんできました。“後で黒ずむ”ところは、バナナに似ているかもしれません。
葉を裂いたり、枝をおったりすると、断面からネバっとした液体が出て糸を引きます。このゴム質の成分には、質の高い天然ゴム資源として期待が高まっているそうです。ある程度乾いても出てくるこのネバネバ。この成分のおかげで、杜仲の葉には虫がつきにくいという性質があり、農薬を使うことはないそうです。虫と格闘せずに無農薬のお茶を楽しめるなんて、魅力的ですね。
約1メートルの葉付きの枝をいただきました。どの葉も青々と美しく、虫がついた痕跡がまったくありません。また、まだ細い枝ですが、そのものが“樹皮”。これを燥させて煮出せば、漢方に用いられる杜仲の効能と同じものが得られるそうです。下は乾燥させたもの。
最後に…
目で季節感を味わえるだけなく、やがて来る季節に備えて実や葉をいただける植物。今回調べてみた杜仲の木は、葉からも枝からもちからを分けてもらえるスーパー植物でした。さすが五大漢薬です。
乾燥させた葉を煮立ててしばらく飲んでみましたが、すっきりとクセがなく、飲み続けるのに良い優しい味わいです。いざ漢方を学ぼうと思うと身構えてしまいますが、昔はどの家でもアロエが栽培されていたように、一本の木として、四季折々を通して気長に付き合ってみるのもいいかもしれません。家族がずっと健康でいてほしい、そんな願いを込めて、杜仲の木を植えてみませんか?
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